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公認学童コーチ講習2 体罰・暴力・ハラスメントの根絶

更新日:2019年12月11日

公認学童コーチ養成講習会の7つのプログラム紹介。今回は連載2 「体罰・暴力・ハラスメントの根絶」 です。講師は松原範之氏(横浜綜合法律事務所)が務められ、弁護士から見た法律的観点の講座でした。以下、トピックスです。


【公認指導者制度は、誰のための制度か?】

公認指導者制度運営要領 抜粋

・第1条 次世代を担う学童競技者が、野球に親しみ、安心して競技力向上とスポーツ障害などに影響されることなく、競技にあたることができるよう、公益財団法人全日本軟式野球連盟は公認指導者制度を設ける。


⇒この制度は指導者ではなく「子供(学童競技者)の制度」。子供を育成することが勲章。


【どいう競技者を育成しなければいけないか?】

・第2条 本制度は、次の事項の達成をはかることを目的とする。

(1)多様なニーズに対応できる指導者を一貫カリキュラム により養成し、その指導力の向上をはかること。

(2)軟式野 球競技のすそ野を支える学童部の指導者として生涯にわたり競技者の健全な精神と人間力を育むこと。

(3)指導者の位置付けと役割に応じた指導者ライセンス認定を行い、社会的信用を確保すること。本制度は次の事項の達成をはかることを目的とする。


⇒すごい選手を育成するよりも、長年野球を愛する選手の育成の方が優れる、規定される。


【公認指導者とは?】

(公認指導者の遵守義務)

第16条 公認指導者は、次の事項を遵守しなければならない。

(1)全軟連の諸規程を遵守すること。

(2)選手個々の権利、尊厳及び価値を尊重し、平等に対応すること。

(3)選手が自分自身の行動に対し、自らの判断で行動できるよう指導すること。

(4)暴力・暴言を用いての指導を行わないこと、また暴力・体罰・ハラスメント根絶の努力を継続すること。


⇒(4)では一時的ではなく、根絶の努力を「継続する」とある。続ける義務がある。


【暴力・ハラスメントについて】

●全軟連が加盟する日本スポーツ協会スポーツ憲章

・第5条 スポーツの公平性及び公正性の確保

スポーツにおいては、フェアプレーの精神を尊重し、公平性及び公正性を確保するため、スポーツの価値を損なう次の各号に定める不適切な行為を行わず、強要せず、黙認せず、許さず、その根絶に努めるものとする。

(1)暴力、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント又は人種、性別、障がいの有無などによる差別等の行為

(2)ドーピングや勝敗に関わる不正な操作等の不正行為


⇒根絶に努める。他チームでも「黙認せず」「許さず」と規定。


【どれぐらい重要なことか?】

●日本スポーツ協会 倫理規定

(遵守事項)

第 4 条 役職員等及び登録者等は、暴力、各種ハラスメント(セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント等)、差別、試合の不正操作、違法賭博、ドーピング、薬物乱用(大麻、麻薬、覚醒剤等)等の違法行為や、スポーツの健全性及び高潔性を損ねるような社会規範に照らして不適切な行為を絶対に行ってはならない。


⇒暴力・ハラスメントは薬物使用、違法賭博と並列記載。


【ガイドライン】

●日本スポーツ協会 倫理ガイドライン

1.身体的・精神的暴力(バイオレンス)行為等について

(1)組織の運営又はスポーツを指導する際に意見の相違などが生じた場合は、互いに話し合い、相手の人格を尊重して相互理解に努めること。特に監督・コーチ等の指導的立場にある者は、競技者等への指導の際、暴力、パワー・ハラスメント行為と受け取られるような行いには十分留意すること。

(2)スポーツを行う際又は指導する際に問題解決の手段として、暴力、パワー・ハラスメント行為(直接的暴力、暴言、脅迫、威圧等)を行うことは、厳に禁ずる。


⇒「受け取られる行為」=疑われる行為も行わないよう努める。


【昔ながらの伝統的な指導という考えは?】

●H25.4.25 スポーツ界における暴力行為根絶宣言

(一部抜粋)指導者は、暴力行為による強制と服従では、優れた競技者や強いチームの育成が図れないことを認識し、暴力行為が指導における必要悪という誤った考えを捨て去る。


⇒必要悪、という考えはない。


【体罰と指導について】

●体罰・体罰の考え方

体罰は学校教育法で禁止。都道府県教育委員会のガイドラインで規定。


・体罰とは(東京都)

児童・生徒の身体に直接的または間接的に肉体的苦痛(>肉体的負担)を与える行為

<直接的>強くたたく、殴る、蹴る

<間接的>長時間正座や起立など


・体罰にあたらない指導(神奈川県)

有形力の行使以外の方法により行われた懲戒について、児童・生徒に肉体的苦痛(>肉体的負担)を与えるものでない限り、通常体罰には当たりません。


●不適切な指導

(神奈川県)体罰に当たらないものであっても、「人格を否定するような暴言」「大きな声や威圧的な態度等の高圧的な指導」「不必要な身体接触」「無視やいやがらせ」等、児童・生徒を深く傷つける行為は不適切な指導であり、決して許されるものではありません。

例)練習試合でミスした生徒に「馬鹿野郎。辞めてしまえ。二度と来るな」と怒鳴り選手を交代させた。


●毅然とした厳しい指導のあり方(神奈川県)

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/cy3/gkt/documents/taibatsuguidelines_201307.pdf

・問題行動が生じた状況を見逃さず、行為を制するとともに、その責任を明確にして、行動が改善されるまで粘り強く指導することです。児童・生徒に毅然とした指導を行うためには、教職員や指導者が児童・生徒と信頼関係をしっかりと作っていくことが大切です。児童・生徒は日ごろから教職員や指導者は自分たちを信じ、尊重し、ともに歩む姿勢を持っているということを実感すれば信頼を寄せます。部活動やスポーツ指導の場面においては、生徒に指導内容や目的を説明し、理解をさせた上で、生徒の技能や体力の程度等を考慮した科学的、合理的な内容、方法による指導が求められます


例)

・バレーボールの練習中、強烈なスパイクに対し、その威力にひるんでレシーブミスを繰り返す生徒に対し、速いスピードに目を慣らすことが目的であることを理解させた上で、様々な角度・スピードから反復してボールを投げてレシーブをさせる。

・野球の公式戦で、捕手が投手の投げたワンバウンドの球を度々後逸する場面があったため、技能向上の一方法であることを理解させた上で、連日、至近距離からワンバウンドの捕球練習を中心に行わせる。

・サッカーの練習試合で、後半足が動かなくなったことにより逆転負けしたため、走り込みが不足していることが大きな要因であることを理解させた上で、試合後にダッシュを数本行わせる。


トピックスは以上です。


松原弁護士には、これまで精読したことがなかった協会・団体の規定を基に、指導についての解釈を学びました。

これによる熱心な指導とは、子供にも課題や責任を明確に理解してもらうことが重要で、優しさだけでなく厳しく、粘り強い指導も必要とあります。

次回の連載3は「正しい投動作と捕球動作の指導」です。

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