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公認学童コーチ講習7 指導者に必要な医学的知識

更新日:2019年12月11日

公認学童コーチ養成講習会の7つのプログラム紹介。連載7回目の最後は「指導者に必要な医学的知識」です。講師は吉田干城氏(横浜ベースボール整骨院院長/公認アスレチックトレーナー)が務められました。

吉田氏は柔道整復師、JOC委員会スタッフにて、全日本学童野球大会の肘検診も務められた方です。桐光学園にて甲子園で登板した実力を持ちながらも、小学校4年に野球肘となって以来ケガと付き合い、選手の道を断念した経験をお話して頂きました。


★内肘型野球肘


【特徴】

・捕手、投手に多く外野手に少ない傾向

・全体の約30%の選手に起きている(痛みのない場合もある)

・投球時に、肘の内側に不快感、痺れ、痛み、筋力低下を訴える。肘の曲げ伸ばしが困難になることが多い。

・負荷の調節で未然に防ぐことが可能

・投球動作に問題がある場合がほとんど


【考え方】

※ガイドラインがないため講師の認識

・全てが悪ではない(骨の端が大きく離れていくものは後々に負の影響を与える)

・肘の曲げ伸ばしで痛みがあるときは、打撃・投球ともに禁止

 →内側を押して痛むが曲げ伸ばしの痛みがない場合は、打撃許可

 →内側を押して痛みがない時は投球許可(段階的に強度を上げる、完全復帰前に医科学的な投球指導・改善が必要)

・1度内側型野球肘になった場合は、長期で経過観察。痛みがないは完全に治っていない。骨のダメージが後々靱帯損傷につながる。


【詳細】

肘の内側の骨(=内側上顆(じょうか)骨端核(こったんかく))による要因。骨端核とは骨のもとになるもの


① 内側上顆(じょうか)障害分節化

児童期に約半数が肘内側に問題があると言われる。

痛みを訴える場合が多いが、痛みのない選手もいる

発症してから1~3年かけて治る。捕手・投手に多い。

状態によっては治らず、骨が2つに分かれたままとなる

(復帰までのプロセスイメージ)

痛みの除去・可動域訓練 2~6週

筋力訓練・投球開始 4~10週 ※投球開始目安:肘の曲げ伸ばしで痛みが出ない。

完全復帰 10週~ 段階的に痛みが出ない範囲で行う


② 内側上顆(じょうか)骨折・離開

中学生の骨端線閉鎖不全の選手に見られる。手術適応。肘の曲げ伸ばしが困難になり痛みも激しい。

(復帰までのプロセスイメージ)

痛みの除去・可動域訓練 4~12週

筋力訓練・投球開始 8~20週 ※投球開始目安:肘の曲げ伸ばしで痛みが出ない。

完全復帰 16週~ 段階的に痛みが出ない範囲で行う


③ 内側側副靱帯損傷 ※9~12歳でも①が起きた際に合併する場合がある



★外側型野球肘

【特徴】

・軟骨の疾病=離断性骨軟骨炎であり骨軟骨が壊死する。原因は不明。投球・打撃は患部を悪化させる。壊死して分離した骨は、いわゆるネズミと言われる。

・投手や捕手関係なく発生率は3%。野球以外のスポーツでも発生率は同じ。

・初期は痛みや違和感を訴えることない。痛みが出たら元に戻らない場合が多く手術が適応。


【考え方】

・病気としてとらえる。原則、医師管理下(医師により考えが異なる。病態や野球を熟知している医師は少ない)

・全国平均では投球開始まで1年2か月。

・初期で発見したら運動中止。捕球・走塁練習を中心。1年近くかかるので心理的サポートが必要。

・中期では治癒するか、しないかの局面。

・終期では遊離体の除去、骨移植などが選択される。


【詳細】

・外側型野球肘(=上腕骨小頭部離断性骨軟骨炎) 平均年齢

透亮期:9~11歳2か月

分離期:12歳7か月

遊離期:14歳1か月


【投球と病態修復】 

投球を続行したら修復できない。

痛みの自覚症状がないので投球を繰り返す。発見後に医師の指示を受け入れない選手、保護者、指導者も多い。

    ↓投球中止 ↓投球続行

透亮期:90.4%   12.1%

分離期:52.9%    0%

遊離期:0%      0%


【受動喫煙との関係性】

・71名中61名といった約86%が受動喫煙にさらされていた。

・原因は諸説報告あるが、近年は軟骨細胞の分化をニコチンが抑制して骨化を遅延させるという報告がなされ、副流煙のニコチンが関係すると思われる。


★セルフチェック

肘の曲げ伸ばし。肘を脇に下につけて、指が肩をさわれるか?

肩甲骨の動かし方もそうだが、位置が左右で異なるのも野球肘の原因

偏平足も体重移動が上手くできないため野球肘の原因の1つ。

捕手・投手を兼任する選手は内側型野球肘の発生率は60%こ超える


★予防エクササイズ

※後日掲載


これにて全7回で公認学童コーチ講習メモは終了です。

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